浪速クラブに本水の雨が降る! 『人生劇場』の舞台準備&本番の様子👀

舞台上に実際に雨を降らせちゃうんです

劇団鯱のお芝居の中には本水(本物の水のこと)を使うお芝居がいくつかあります。2024年1月の浪速クラブでも『人生劇場』というお芝居の雨降りシーンで本水を使用しました。

雨を降らせることができる劇場は全国でも数少ないのですが、浪速クラブの雨は粒が大きく降る音まで含めた臨場感がすごいのが特徴!

毎日お芝居やショーの内容が変わる大衆演劇の舞台。たった1回のお芝居のために実際に雨を降らせてしまうなんて、よく考えたらかなり大胆な世界ですよね。

照明を吊るすバーから本水を出すため、設置していた照明を外すところから

浪速クラブには信頼できる棟梁さん達がいて、できることとできないことをしっかりと指導してくれます。棟梁さんのご指導のもと、鯱メン男子みんなでセッティングに臨みました。

大量に雨が降るため、床に水が溜まります。それが客席に流れ落ちないようにするため、舞台の前面に柵を設けます。そこに防水シートを敷いて、舞台上が浅いプール状態になるようにセッティング。言葉にすると当たり前なのですが、それを本当にやってしまうのが大衆演劇の舞台のすごいところなんです。

本水が出るホースをセッティングして、実際に本水を出すテスト中

お客様も雨よけをしながら観劇

これだけ大掛かりな仕掛けで雨を降らせるからには、前列のお客様にもお水がかかる可能性があります。濡れることはほぼ確定です。もちろん何も知らずに濡れたら困っちゃいますよね。だからあらかじめご説明をしたうえで、座席にはしっかり雨よけのビニールシートを配ります。

演目告知の時点で「雨が降るよ!」とお伝えしているので、劇場の常連さんや劇団のファンの皆様は承知のうえで臨場感を味わいにいらっしゃいます。アトラクション感覚で生の迫力を楽しんでいるそうです。お水がかかりたくないお客様は少し後方のお席でご覧になることを選びますし、様々な観劇スタイルで楽しめるのが大衆演劇の醍醐味ですね。

前方の座席には雨よけのビニールシートを配布します(本当に濡れる)

いざ、お芝居の本番へ!

舞台セッティングは万端! 大衆演劇の慣習で驚かれることのひとつに、本番がぶっつけである点も挙げられます。セリフの口立てやおおまかな立ち位置の確認などはできても、セットや衣装を使用しての通しの場当たり(いわゆるランスルーやゲネプロのようなもの)はないのが基本。

舞台に立つ役者も裏側を支える棟梁さんも、ドキドキの本番。この日も無事に成功して、お客様に喜んでいただけました。

ざあざあの雨が降る中で、びしょ濡れでの立ち回り!

本番当日は1月末のとっても寒い日…。実はホースから降った雨はお湯ではなく冷たい水!(笑) 座長いわく、最初の一滴が身体に当たった瞬間に「無理!」と思ったそうですが、無事に演じ切れてひと安心…👏👏👏

準備の様子と本番の様子をダイジェスト動画にまとめてみました。本水を使った舞台の迫力は現地で実際に観た人だけにしかわからない迫力ではあるのですが、ちょっとでも伝われば思います。

浪速クラブに本水の雨が降る!『人生劇場』の舞台準備&本番の様子👀

いつかまた会えるかも! が大衆演劇のいいところ

大衆演劇の舞台は一期一会、残念ながら同じものには二度と会えないのです。今回のお芝居『人生劇場』も、雨を降らせる演出は限られた劇場でしかできません。次に浪速クラブでの公演があった際に同じ演目をやるのかどうかも今はまだ誰にもわからない…。だから全力の舞台を観に来てほしい、舞台に立つ側はいつもそう願っています。

とはいえ、矛盾するようですが、次の機会があると信じられるのも大衆演劇のいいところなんです! 今回観逃した演目を次は観るぞ! という楽しみが必ずあります。そしてきっと、次は今回よりももっと良い舞台になっているはず!

観逃したことを悲しむより、一度でも多く劇場に足を運んでいただいて「次の機会」を生で体験しに来てもらえることが、劇団としてはとってもうれしいんです。次の機会も次の次の機会も、出会ってもらえたら絶対に楽しんでいただける舞台になるよう、お約束します。そのために劇団鯱一同は毎日がんばっています♪

お芝居終演後の集合写真タイム(これもレアな機会だったりします)